Converting T.V. to Digital

COMMENTARY

Converting T.V. to Digital

Jul 25, 2013 1 min read
COMMENTARY BY

Former Senior Visiting Fellow, Japan

Kumi is a former Senior Visiting Fellow.

 テレビショーをデジタル化して保存せよ

1950年代から1970年代まで続いた人気のテレビショーをデジタル化する動きが始まった。

議会図書館は、Walter Cronkiteの「CBSイブニング・ニュース」や「Rowan & Martin’s Laugh –In」をデジタル・ファイルで保存することを開始した。

莫大な時間がかかる作業であるが、今、デジタル・ファイル化しないとJFK時代、ヒッピー時代、ウォーターゲート事件といった歴史的映像を、今後、見る機会を失っていく、という。1970年代までに作られたフィルムは保存することは考えられて作られていないのですでに非常にもろくなっている。

すでに修復不可能なフィルムもでてきている。以前は、夜のニュースで頻繁に放映されていたベトナム戦争の映像も使えないものが多くなっているという。1962年から1970年に放映されていたJonny Carsonの「Tonight Show」のビデオはほとんど残っていない。

フィルムのコーティングは年月で湿気を吸いテープとテープがくっついてしまっているものもある。それを丁寧にはがしていくこと修復作業はかなり難しいという。しかも修復しただけでは、1980年代より古い機械でしか再生できない。

現在、議会図書館は70万のビデオのデジタル化を目指している。

ここで問題になるのは、著作権とコストである。記録映像の保存はアメリカのためはあきらかであるので、議会図書館は著作権は寄付されるべきと考えている。コストは1本につき修復デジタル化が400ドルかかる。古いテープを読み込む機械の修復には1台につき5000ドルかかっている。1本につき400ドルがかかるが、それ以上の価値があると認識されている。

議会図書館では、こんな経験があった。1990年代「Resignation/Disneyland」というラベルのテープを見つけた。400ドルかけてデジタル化する価値があるかどうか考えたが、デジタル化してみた。なんとそこには、1974年ディズニーランドでカリフォルニア州知事のレーガン元大統領がニクソン大統領辞任について演説する姿があった。

過去のドキュメント映像は、まさに宝の山である。

この動きを知ったときに、日本の状況と比べてしまった。アメリカは、過去の事実の蓄積を民主主義の必要要件としている、と思われる。

アメリカでは、過去数十年分の新聞、雑誌の記事に加えてテレビ・ラジオのニュース番組のトランスクリプションまでもを含む巨大ニュース・データベースが存在する。しかも、それは、電子政府予算のもと、アメリカ住人であるなら無料で自宅のPCからアクセスできる環境ができている。そして、議会図書館に行けば、過去の映像に加えて政治にかかわる音声録画も保存されている。

しかもアーカイブには、読みきれない量の政府の一次資料が保存されている。今年はリンカーン大統領のもっとも有名な「人民の人民のための人民による政治」と語ったゲチスバーグ演説から150年ということで、リンカーンのアーカイブ資料をさらに読み込むプロジェクトが行われているが、いまだすべての資料を読み込むことができず、資金も時間も尽きている、というニュースが出ていたほど、リンカーン時代ですら多くの資料が残されている。

アーカイブにはアメリカ人だけではなく、自国のアーカイブでは見つからない資料を探して世界中のリサーチャーが集まっている。

 

キャピトルの丘

日本には、ニュース記事の巨大データベースと同時に、NHKの歴史映像をデジタル化し、ある程度、時間が経過したものは、国会図書館で閲覧できるようにすべきではないかと思う。

NHKの関係者に聞いたところ、過去の政見放送は公開情報になっていないし、デジタルでデータベース化もしていない。

過去の政見放送を見られるだけでも、かなり日本の政治に対する意識は変わってくると思われる。政治家の演説の質も、政治に対する議論の質の向上につながるんじゃないかと思う。

先週まで続いた参議院選挙での議員の演説映像は、将来は、貴重な記録映像になっていく。

話は変わるが、アシスタントのラィリー・ウォルターズが、この参議院選挙についてアメリカ人はどう見ているか、についてコラムを書きました。以下に簡単な日本文と英語本文を貼り付けます。

コメント、質問、取材などありましたら、本人にご連絡ください。よろしくお願いします。

 

参議院選挙を見るアメリカ人の目

By ラィリー・ウォルターズ

参議院選挙で勝利し、安定政権を手にしたことで、安部政権はナショナリストに進むと心配する国もあるが、アメリカ人がもっとも興味があるのは、アベノミクスと憲法の今後である。

アベノミクスの放った1本目の矢と2本目の矢は量的緩和と政府支出の増加である。この二つはアメリカでも日本でもなんども使われた手法であるが、それほどの効果があったためしはない。そのため3番目の矢に興味が集まっている。3番目の矢はTPPに思われるが、健康保険と農業を守りたい日本と自動車産業を守りたいアメリカの交渉は容易ではない。しかし、TPPは、政府ではなく需要者に勝ち負けの決定権を与えることになる。今でも、私はホンダに乗り、両親はFordに乗っている。

2つ目は、憲法改正である。実はほとんどのアメリカ人は、今の憲法で問題ないと思っている。今の憲法下で、すでに安倍首相は防衛費も値上げしているし、自衛隊も活動している。とりたてて変える必要性がわからない。

中国は、日本のナショナリズムについて不満をやめない。アメリカは日本ではなく中国の軍事力強化を恐れている。アメリカは日本の防衛費の増加は歓迎している。日本は中国からの反感を刺激するよりも、自由市場と経済成長に集中したほうが日米両国にとって良い結果につながると思っている。

 

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