The Heritage Foundation

Japanese Newsletter #53

August 9, 2012

August 9, 2012 | Japanese Newsletter on

FBIもついに電子政府!

ついにFBIの業務が電子化される。

FBIは新しいシステム導入に12年要したが、ついに、先週(7月31日)、新しいコンピューターシステムを発表した。

FBIによると新しいシステムでは、電子ファイルを共有できるし、他の人が行った変更も共有できるという。

何が新しいのかと思う人もいるだろう。911同時多発テロ事件以降、政府間の情報共有を進めてきたアメリカの電子政府の状況にあっても、FBIの業務では、紙に頼る部分も大きかったという。

FBIは当初Virtual Case Fileという情報共有システムの導入を目指した。しかし開発に時間がかかり、そのシステム自体が古くなってしまったので2005年に中止した。その後今回完成したSentinelというシステムの開発を進めてきた。8月1日のウォールストリートジャーナルによると、FBI予算の4億5100万ドル以内で収まる予定だったが、結局6億ドル以上かかり、しかも2年以上遅れての完成となった。

Sentinelは、当初CIAのプログラム・マネージャーだったミオドラグ・ラザービッチ(Miodrag Lazarevich)が開発にあたり、その後ロッキードマーチン社が引き継いだ。だが、予算の問題で2010年に契約を解除し、最終的にFBIで独自に完成させた。 

電子化しなければならないファイルはまだまだ残っており、電子化には更なる時間がかかるようだ。

911同時多発テロ事件以降、省庁に加えて地方政府間の情報共有を進めてきた。この10数年間のアメリカの電子政府の取り組みは、自然災害を含む有事の際の政府間の情報共有に集中し、書類の電子化による情報共有は格段に進んだ。

国務省内の省庁内共有のシステムや、災害が起きてから一ヶ月以内の情報共有の枠組みを決めるCOOPと呼ばれるしくみは、電子政府のフォーラムでは必ず紹介されていた。

今後、FBIとCIAと国防総省の情報共有が進めば、アメリカの安全保障はより強固になると考えられている。

2009年のテキサス州フォート・フッド陸軍基地起きた銃乱射事件では、FBIは事前に犯人の情報をつかんでおきながら、それを軍や情報機関と共有しなかった。

情報共有システム統合が進めばこういった事件も未然に防げるようになる、とメディアも見ている。



キャピトルの丘

連邦議会は両院とも休会中であるため、ヘリテージ財団でも夏休みをとっている人が多い。

通常の休会中なら夏休みシーズンでも、休みを利用するかのように連邦議員はヘリテージ財団などのシンクタンクのイベントで講演する。だが、選挙の年とあって、今年の夏は、ワシントンで議員が講演する姿を見かけることは少ない。

選挙シーズンとあって、新聞の報道も選挙が中心だ。その中で、特に注目されているのが、共和党の大統領候補者ミット・ロムニーの副大統領候補が誰になるか?だ。

先週のキャピトルの丘では、ロムニーの副大統領候補ニュースが一番に手に入るというロムニー陣営が発表したアプリについて紹介した。

今週、3ヶ月連続でロムニー陣営がオバマ大統領の資金集めを抜いたというニュースが報道されていることもあり、ロムニー陣営は今が逆転のチャンスと思っているようだ。マスコミも同様の視点で副大統領選びに注視している。従来、副大統領候補は夏の党大会で発表されることが多い。

連日、マスコミは、選挙の結果を左右する州、オハイオ州のロブ・ポートマン上院議員、フロリダ州のマルコ・ルビオ上院議員、ウィスコンシン州のポール・ライアン下院議員、ミネソタのティム・ポレンティー州知事等の名前をあげ、その影響を分析している。

ロムニー陣営もこの状況を利用して、新しい選挙運動を始めた。選挙運動にしばしば帯同する息子クレッグ・ロムニー、そして翌日には妻のアンの名前でEメールを送った。そこには、ロムニー陣営に寄付または寄付なしでもメール登録すれば、全米内の往復チケットとホテル一泊分があたる、と書かれている。

オバマ陣営はすでに、オバマ夫妻との食事があたるという選挙運動を展開している。

今年の選挙運動の新しいトレンドの1つは「あたり」つき選挙運動のようだ。

アメリカの選挙運動にももちろん問題はあるが、硬直化する日本の選挙運動と比べると、創造性の幅はなんとも広くて羨ましい。

創造性は、ビジネスでも政治でもイノベーションにおいても基本である。NASAは、前回火星探索機よりも5倍の重量がある「キュリオシティ」も今週、「スカイクレーン」という新技術で無事に着陸させた。

日米の創造力の相違が選挙運動にも出ている気がする。

About the Author

Kumi Yokoe, Ph.D. Senior Visiting Fellow, Japan
Asian Studies Center