The Heritage Foundation

Japanese Newsletter #45

June 14, 2012

June 14, 2012 | Japanese Newsletter on

F-35の予算も削減?

6月7日、ヘリテージ財団は「The Future of Allied Participation for the F-35 Joint Strike Fighter Program」、と題するパブリック・イベントを行った。タイトルにもあるとおり、日本が購入を決定した現在開発中のF-35 ライトニングIIに関するイベントである。

海兵隊で航空戦力を担当するケビン・キリア大佐、F-35のエキスパートであるロビン・レアード博士、そして保守派のジム・インホーフ上院議員の下で軍事関係のアシスタントを務めるアンソニー・ラザースキーの3人がパネリストとして登場し、ヘリテージ財団のスティーブ・ブッチ研究員が司会を務めた。

ブッチは、「すでにアメリカ空軍は予算を切り詰め、即応力を低下させている」とし、更なる予算の削減とF35の開発の遅延は回避すべきであるとの懸念を表明した。

キリア大佐は、F-35Bの開発現状について述べた。生産が計画されている420機のうち、11機が既に納品されている。そのうち5機がテスト用、6機が実戦配備のために現在訓練中であると語った。短距離離陸・垂直離着陸が可能なF-35Bは、遠征能力が重要視される海兵隊のために開発されている。アメリカの4軍の中でも、海兵隊が真っ先にF35を実戦配備することになっている。キリア大佐は、F-35BがハリアーやF-18といった現行の戦闘機に代わって、海兵隊の遠征能力を高める、と強調した。

レアード博士は、F-35が単なる戦略戦闘機ではなく、「空飛ぶ戦闘システム(Flying Combat System)」であり、戦闘機同士の高速情報共有や内蔵されているソフトを随時アップグレードできる点など、革命的な戦闘機であると述べた。また、レアード博士は、F-35をI-pad世代の戦闘機となぞらえ、かつて騎兵から機械化部隊へと変化していったのと同じ程の戦闘機イノベーションである、とした。

レアード博士は、F35を製造するロッキード・マーチン社の現状にも触れた。彼によると、ロッキード・マーチンは、F35の開発において、エンジンと最終組み立てといった全体の30%に関わっており、他の70%はアメリカだけでなく世界の会社が参加している、という。そのため、この開発プログラムを遅らせることは、同盟国の軍事能力を遅らせることであり、中国を喜ばせるだけだ、と明言した。

F-35開発プログラムに参加しているのは、イギリス、カナダ、デンマーク、オランダ、ノルウェー、イタリア、トルコ、オーストラリアの8カ国である。それらの国が、F-35研究開発へ出資したりと様々な形で貢献している。また、これらの国々はトータルでF-35を約700機購入する予定の大口顧客でもある。これらの他に、イスラエルとシンガポールがSecurity Cooperation Participantsとして連携している。

 レアード博士は、同盟国が既に購入を表明している中で、これ以上の遅れはアメリカの沽券にも関わる。同盟国との信頼を損なわないためにも、開発を早め、実戦配備を開始しなければならない、と語った。

議員スタッフのアンソニー・ラザースキーは、元戦闘機パイロットであり、コストについて言及した。

大統領の国防費の予算削減案には、F-35開発プログラムから2013年には16億ドルの削減、今後5年間で150億ドルの削減が盛り込まれているという。さらに、既にここ2年で、今後5年で425機分の発注分の予算が削減されることになっていると懸念を示した。ラザースキーは、目先の視点でわずかな額をセーブすると、戦闘機の改良に関わるコストを削減し、そしてついには、F-35を採用しないことよる安全保障面でのリスクが高まるという長期的コストを負うことになる、と批判した。

ラザースキーは、F-35が行っている「Concurrency(開発と生産の同時並行)」についても言及した。これは過去の戦闘機生産にも適用され、テスト飛行と実際の生産を同時進行で行うことで費用を抑えることである。Concurrencyについては、万が一重大な欠陥が見つかった時の対応など様々な批判があるが、ラザースキーはF-35では、今までに3つのひび割れしか見つかっておらず、危険性が誇張されている、と反論した。

ラザースキーによると、同盟国の多くは2018年までに、現在の戦闘機の運用年数が切れる、という。多くの国でF-35に白羽の矢が立っているが、予算削減等による開発遅れが、それらの国の安全保障に重大な影響を与える、との懸念もしめした。

日本は、現在42機の購入を決めているが、開発には参加していない。また、ヘリテージ財団のフォーラムでも、日本と言う言葉は出てこなかった。同盟国という言葉の中に入っていただけだ。F35の開発がどのように進むのか、またその過程で日本は関わっていくことになるのか、次世代戦闘機F35の仕上がりとその過程が気になるところである。

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キャピトルの丘

「アメリカの空軍は世界一さ」

「なんてかっこいいだ。アメリカ軍のパイロットたちは」

「アメリカ軍は、この技術で俺たちを守ってくれているだ」

というディスクジョッキーの声が、ロックを背景に青い空と青い海に響き渡る。観客は、声援と拍手を惜しみなく送る。

先週末、メリーランド州のオーシャン・シティで行われたエアー・ショーの光景だ。

ビーチは数万人の観客で埋まっている。

ペントハウスをVIP席とするホテルの屋上では、ディスク・ジョッキーがショーの説明をし、そしてパイロットの腕を褒め称える。

ショーではF18の轟音が響きわたり、6機のサンダーバードは曲芸的運転を披露する。そして命知らずのパラシュート部隊は天空から舞い降りてくる。

バック・ミュージックは「ビカミング・アメリカ」や「アメリカ」というロックが流れる。否が応でもアメリカ人はアメリカ人であることに誇りを感じざるを得ない、雰囲気で満たされている。

アメリカでは、普通の娯楽のなかに、アメリカ人であること、そしてアメリカ軍を誇りに感じるようになっている。

5月28日のメモリアル・デーの休日は、ワシントンDC全体が「アメリカ軍を誇る」ムードで満たされる。

リンカーン記念館からワシントン・モニュメント、そしてキャピトル・ヒルに続くコンスティチューション通りは、通行止めになり、元軍人がハーレーに乗って行進する。

ハーレーには彼らが所属した部隊の旗が飾られている。20代から60代の軍人たちがクラクションを鳴らし、沿道の人々に手を振ってゆっくりとキャピトルに向かって走っていく。

沿道の家族連れは手を振る。「誇りに思っている」と言うポスターを掲げる人たちもいる。

ハーレー乗りも観客も一体になってメモリアル・デーを盛り上げていた。

こういう景色は日本では見られない。

歴史的背景の違いから、日本では、アメリカのようにやることは無理である。

だが、日本にもある程度は必要であろう。

「判断力はどうすれば身につくのか アメリカの有権者教育」を出版したときに、この部分の教育がいかに難しいのかということを知った。

「子供の政治教育」というタイトルで出版したかった。だが、「政治教育」と言う言葉は、日本的保守層からは「ユートピアのリベラル思想の持ち主」ととられ、団塊の世代に代表される日本的リベラル層からは「戦争を推奨する保守」と取られる、という心配が大いにあったため、一見すると何が書いてあるのかわからないタイトルにすることで落ち着いたのである。

とにかく、手にとってもらえば、現実的な健全な考えであることは伝わる、と担当編集者は自信を持っていた。

最近では、国会に、有権者教育に関連する議連も出来た。この本を書いたときに、有権者教育の根底には、どんな国にしたいのか、健全な愛国主義とは何か、といった基本的前提が必要であるということに気がついた。アメリカは、時代に悩みながら、その時代に相応しい有権者教育を作ってきた。

エアーショーやメモリアル・デーの娯楽はまさにその一つの結果物である。

アメリカのようにあっけらかんと明るく、精神論とはかけ離れて「自分の国を誇りに思える」ムードが少しだけでも日本にあったら良いな、と考えている。

About the Author

Kumi Yokoe, Ph.D. Senior Visiting Fellow, Japan
Asian Studies Center