The Heritage Foundation

Japanese Newsletter #34

March 29, 2012

March 29, 2012 | Japanese Newsletter on

ミャンマーでの選挙 制裁解除となるか?

今年の4月1日、ミャンマーで選挙が行われる。前回の選挙は、2010年であるので2年ぶりだが、その時は、オブザーバーも外国記者団の受け入れも認めず、結果、軍政を後ろ盾とする連邦団結発展党(USDP)がほぼ8割の議席を獲得した。そのため、ミャンマー国内の民主化勢力や国連、そして外国政府は、不正選挙だと非難してきた。

しかし、4月1日に行われる選挙は、民主化の試金石となる可能性があるため、注目を集めている。というのもミャンマーの現政権はASEANからのオブサーバー受け入れを検討しているだけではなく、2010年の選挙をボイコットしたアウンサンスーチー氏が出馬しているからである。

選挙に先立って2012年1月13日、ミャンマー軍政は反政府民族集団と停戦を結び、政治犯として投獄していた651人の民主主義運動家を釈放した。それを受けたクリントン国務長官は、1月13日ミャンマーとの国交正常化にむけて大使の派遣を検討すると発表した。大使の派遣には議会の承認等が必要となり長い時間を要するが、ミャンマーの民主化と市場の開放は、アメリカやその同盟国にとっては戦略的に大きな意味がある。

2月29日、ヘリテージ財団アジア研究センターは、4月に行われる選挙に先立って、ミャンマーに関するイベントを開催した。アジア研究センター所長のウォルター・ローマンが主催し、Lorne Craner氏(President, International Republican Institute)、政治犯としてミャンマーで投獄されていた経験を持つAung Din氏(Executive Director, U.S. Campaign for Burma)、そしてJared Genser氏(Founder and President, Freedom Now)の3名をパネルに招いた。

そこでは、選挙はミャンマー民主化にむけた前向きな動きではあるが、課題は多く残されており、選挙の結果が直ちにミャンマーの市場開放や発展につながるわけではない、ということでパネルは一致した。その理由は、今回の選挙は、中央議会の全議席のおよそ15分の1にあたる46議席でしか争われないため、仮にアウンサンスーチと彼女の党が勝ったとしても、大局に大きな影響はない、ということであった。また、少数民族等に対する人権侵害が継続されていることも取り上げられていた。

3月20日、ウォール・ストリート・ジャーナルが、ミャンマーにおける電話市場の大いなる可能性についての野村證券のリポートを紹介していた。日本企業だけではなくミャンマーの市場を各国の企業が注視している。

ミャンマーは地政学的にも重要な位置にあり、豊富な自然資源(とくにルビーや差ファイヤなどの鉱物資源)を抱えている。

ヘリテージ財団のフォーラムでは、選挙後の大きな変化に懐疑的であったが、ヘリテージ財団のローマンは、「選挙後のミャンマー政権とアウンサンスーチーと連携形態が、ミャンマーだけでなく周辺諸国へも影響を及ぼすだろう。4月1日の選挙で潮の目が変わるかもしれない」と語り、経済状況が変化する可能性も示唆している。

4月1日の選挙結果によっては、アメリカの経済制裁緩和の動きが出てくるのかもしれない。

ちなみに、アメリカでは「ミャンマー」という国名は使わず、旧国名の「ビルマ(Burma)」を使う。「ミャンマー」という国名は1989年に、軍事政権によって「ビルマ」から改名された。この軍政は1989年の選挙後民主化運動を激しく弾圧し、数千人が殺害されたと言われている。そのため軍政を認めないアメリカやイギリスは「ビルマ」という名称を使っている。

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キャピトルの丘

ポール・ライアン下院議員をご存知ですか?

共和党の次期エースとしてワシントンDCではトップクラスの注目を集めている。政策力もトップクラスで知られてている。現在、ライアン議員は下院の花形ともいえる予算委員会の委員長を務めている。

3月21日、ライアン議員が、共和党を代表して「繁栄への道」と題された2013年度の予算案を発表した。

そして、翌日の午前中、ヘリテージ財団で、この予算案の説明を行った。2016年以降の共和党の大統領候補としての呼び声が高いこともあり、アメリカのマスコミも多く駆けつけ、会場はテレビカメラと参加者で一杯だった。

講演でライアンは、オバマ案が人々の政府への依存度を高め、政府が勝ち組と負け組みを決め、次の世代に多大な負担を負わせる、と非難した。

ライアンは、自由・平等・博愛といった道義的な思想がアメリカ政府を政府足らしめるのであり、この予算も「道義的、理念的な文書である」と語り、「しかしそれは、社会的弱者を守るための安全網(Safety Net)をすべてなくせ、と言っているのではない。人々が安全網に代表される政府支出プログラムに依存すればするほど、それがうまくいかないときのダメージが大きい」と続けた。

政府は、税金を低くし、歳出を抑え、企業の雇用創出等を促し、それでも生活できない人のために安全網を用意するべきであり、社会保障の制度改革は急務である、というのが予算案の骨子である。

また、この予算案で焦点となるのが、国防予算である。国防予算は2011年8月に発効されたBudget Control Act of 2011に盛り込まれている「差し押さえ」の発動によって、自動的に削減されることになっている。ライアンはオバマの国防予算は不十分で、兵力の削減、装備のアップグレード凍結などは、アメリカや世界の安全保障を余計に脅かすのではとの懸念を表明した。

そして3月28日、ヘリテージ財団のエド・フルナー所長とAEIのアーサー・ブルックス所長とウィリアム・クリストルが連名で「ライアンの予算案は国防を守る」と題した論説をウォールストリートジャーナルに発表した。「ライアンは国防予算案で削減すべき4870億ドルのうちの2140億ドルの削減を達成している。」、とライアン案の後押しした。

これからますます1970年生まれのライアン議員から目が離せない。

About the Author

Kumi Yokoe, Ph.D. Senior Visiting Fellow, Japan
Asian Studies Center