The Heritage Foundation

Japanese Newsletter #24

January 12, 2012

January 12, 2012 | Japanese Newsletter on

Republican Primary

ミット・ロムニー元マサチューセッツ州知事が、アイオア州とニューハンプシャー州の予備選挙を制した。

この流れでいくと、共和党の大統領候補はロムニーに実質的に決定したかのように見えるが、今回の予備選挙では、まだまだロムニー陣営は手が抜けない。

というのも、共和党は今回の予備選挙で予備選挙のルールを変えた。今までの予備選挙では、どんなに票差が少なくても1位になった候補者が州ごとに配分された代表委員の票の獲得できたが、今年からは、3月以前は「Winner takes all」つまり勝者が票をすべて独り占めすることができなくなった。

そのため、ロムニー候補は、アイオア州とニューハンプシャー州で勝利したが、代表議員の票を総取りしたわけではない。とりわけ、アイオア州では2位とは8票差で1位から3位まではドングリの背比べと言える勝利だったので、獲得した票はほぼ横並びとなる。現在、ロムニーが先行していることには間違いないが、大統領候補者としての当確はまだしばらく先ということになる。

日本人からすると、党内が分裂する予備選挙は早く終わらせて、本選挙に備えた方がいいのではないか、と見えるかもしれない。だが、共和党は、その予備選挙を長引かせる決定した。というのも、アメリカ大統領選挙の予備選挙には、今後4年間の政党の考えを再定義するという大きな役割があるからだ。

ミット・ロムニーが大統領候補になるのか、ロン・ポールが大統領候補になるのか、ギングリッチが大統領候補になるのかで、共和党の政策は大きく変わる。今年の夏に行われる全国党大会では、党の大統領候補の指名だけではなくて、大統領候補が中心になって用意した政党を再定義する綱領も発表される。

こういう背景があるからこそ、予備選挙は真剣に盛り上がる。

さて、アイオア州とニューハンプシャー州の結果から、今後の予備選挙の注目点を整理しよう。ポイント2つである。

1つは前述の共和党の再定義の視点である。個人的には、この視点を日本の政党に取り入れてもらいたい。

話を元に戻そう。

ロムニーはモルモン教徒であり、マサチューセッツ州の州知事時代に健康保険を導入したことで、保守派から非難されている。ポールは、外交的に孤立主義を主張するリバタリアンである。ギングリッチは、下院議長時代「アメリカとの契約」で40年にわたる民主党優位の下院を終わらせたが、2回の離婚経験から社会政策を重要視する社会保守から非難されている。

アイオア州でリック・サントラムが、まさかの躍進を見せ2位になったのは、まさに、先頭を走るロムニーに対するけん制である。サントラムは、ほとんどの大統領が属するプロテスタントではなく、ケネディ大統領と同じくカソリック教徒であるが、敬虔な宗教心とそれに直結する社会政策への考えは有名である。

保守色が強いと言われる1月21日に予備選挙が行われるサウス・キャロライナ州で各社の世論調査通りロムニーが勝利し、そして、その後のフロリダでも勝利すれば、予備選挙は続くとはいえロムニーは共和党大統領候補者の切符を実質的に手にしたことになる。ロムニーが切符を手にする場合、どのような政策を発表して共和党をどのようにまとめていくかは見逃せない。

2つ目は、ロン・ポールの票である。

今回の選挙は1996年の大統領選挙に似ている。1996年ではクリントン大統領再選を阻む候補として共和党はボブ・ドール上院院内総務を擁立したが、まとまりきれず、孤立主義と言われるパット・ブキャナンが台頭した。共和党は苦境に立つと、極端な思考を持った候補者が票を伸ばす傾向がある。

保守系インサイダーたちは、「ポールが票を伸ばすと、無所属で立候補する」と心配する。

ニューハンプシャー州の予備選挙結果の内訳をみると、ロン・ポールは若者層と無所属層の票は、ロムニーに勝っている。

ロン・ポールが、無所属で立てば、共和党の票田は割れるので、共和党に勝ち目はなくなる、という。

共和党の予備選挙を、政党を再定義するという視点で観察すると、政治再編という言葉が躍る日本の政治の閉塞感を破るヒントになるのではないだろうか。

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キャピトルの丘: 2012年大統領選挙とシンクタンク

2012年大統領選挙が盛り上がってきた。ヘリテージ財団でも、シンクタンクの立場で選挙モードに突入している。シンクタンクは、広く公益のために政策研究を司る研究・教育機関であって、選挙運動の組織ではない。シンクタンクは客観的な公益性から免税特権がもっとも大きい、501(C)3と呼ばれる非営利団体に属し、選挙活動は禁止されている。

昨年末には、大統領候補者のニュート・ギングリッチ元下院議長やジョン・ハンツマン元中国大使がフォーラムでスピーチを行なったが、その際も、政策についての講演であり、司会者は、「選挙の質問はだめです」とすべての選挙関連の質問を拒絶した。

また、「ヘリテージ財団は誰を支持していますか」という質問を受けることがあるが、シンクタンクは候補者を支持することはない。スタッフが特定の候補者の選挙運動をフルタイムで手伝いたい場合は、休職するか退職することになる。有権者としての簡単な選挙運動は、就業時間以外に別の場所で行なうことにまで制限はないが、就業時間にヘリテージ財団のメールなどを使って選挙依頼することはご法度だ。

こういう前提を踏まえてうえで、ヘリテージ財団だけではなく、各シンクタンクはシンクタンクの立場で選挙モードに突入している。

例えば、ヘリテージ財団では、1月10日、CPACのディレクターがインビテーション・オンリーの「ブロガーとの対話」で講演をした。CPACは共和党の大票田の政治組織である。この団体の主張と動きは、共和党に大きな影響を与えている。CPACのディレクターは、2月9日から11日まで行なわれる年次総会のアジェンダ、そして参加するスピーカー、さらには、新しいメディアに対するプレス政策について話した。CPACは紙での配布物を取りやめ、登録からすべてデジタルで行なっているという。また、従来のマスコミ席に加えてブロガーらニュー・メディア用の席も用意しているとのことだった。

現在、確認がとれているスピーカーには、大統領候補者、ミット・ロムニー、ニュー・ギングリッチ、ロン・ポールが並んでいる。ちなみに、サラ・ペイリン元副大統領候補も舞台に立つという。

昨年の最後のブロガーとの対話のスピーカーは、ワシントンDCで開業したばかりのITタクシー会社の社長だったことを考えると、シンクタンクにも大統領選挙の風が吹き込んでいることがわかる。

ちなみにヘリテージ財団では、ブロガーとの対話との同じ時間帯に、「2012 米中の変化」という公開講座を行なっていた。シンクタンクにとっては、こちらの講演が花形となる。これについては、webで公開されるので、ご興味のある方はご覧ください。

今年は、ヘリテージ財団のネットワークを利用して、様々な選挙運動を現地調査し、皆さんに、通常では見えないアメリカについてお見せできれば、と思っています。

今年もよろしくお願いします。 

大統領選挙に関する執筆、インタビューなどありましたら、いつでもご連絡ください。

About the Author

Kumi Yokoe, Ph.D. Senior Visiting Fellow, Japan
Asian Studies Center