2012デジタル選挙は何を生むのか  

COMMENTARY Asia

2012デジタル選挙は何を生むのか  

Nov 1, 2012 1 min read
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Former Senior Visiting Fellow, Japan

Kumi is a former Senior Visiting Fellow.

ハリケーン・サンディの到来で、ワシントンDCの生活は日曜から火曜日までストップしていた。

 

ここヘリテージ財団も連邦政府の閉鎖にあわせて月曜と火曜は自宅待機となった。

 

ニュージャージー州やニューヨーク州は報道にあるとおり多大な被害を受けたが、ワシントンではそれほど大きな被害はなかったようだ。7月の嵐のときの方が遥かに被害が大きかったが、風の音は不安にさせる。

 

ニュース番組を流し続けているが、被害が大きくなることがわかっているハリケーン到来で、すべてのニュース番組はハリケーン情報一色だ。オバマ大統領もロムニーもハリケーンが最大の被害をもたらす期間は遊説などの選挙運動をストップしていた。そのため、いつもだったら頻繁に流れる演説のニュース映像は全く流れない。

 

そんな中、一枚の紙がドアの下から入ってきた。共和党の大統領候補者ミット・ロムニーを応援するコピー用紙だ。

ロムニー支持者が全戸に配っているんだろう。

 

選挙も残すところ1週間を切り、各陣営はやれることを必死にやっていることが伝わる1枚だった。ちょうど、先週末のABC・ワシントンポスト調査には、ロムニー陣営からアプローチがあった人は23%、オバマ陣営からは22%という数字が出ていた。バージニア州は、両陣営が火花を散らすバトル州の1つである。この1%が私の部屋に投げ込まれた1枚の紙の違いなんだろうか、と思っていた。

 

さらに、ネットの中の選挙は、ノンストップだ。

両方に登録しているので、両陣営から、Eメールが1日に複数入って来る。両陣営とも、候補者本人と妻、そして副大統領候補名義のメールに加えて、オバマ陣営はクリントン元大統領やスタッフの名前でメールが届く。一方、ロムニー陣営は息子やルビオ上院議員など名前が知られている政治家からメールが届く。名前が違えども、差出メールアドレスは同じで頻繁なので、スパムメールに入ってしまうほどだ。

 

両者のメールでもっとも力が入っているのは軍資金の調達だ。大口寄付が多いロムニー陣営からのメールには、寄付の当たりは特等席で選挙が観察できるとあったり、旅行だったり。一方、小口の寄付集めに力をいれるオバマ大統領は5ドル、10ドルの寄付を可能にするテキスト資金集めにも力を入れる。決まったあて先に金額を書くと電話代から寄付に行くしくみだ。

 

オバマ陣営は2008年よりも技を磨き、ロムニー陣営はオバマ陣営には及ばないがマケインの戦略は超えている。

 

ポリティコによると、オバマ陣営は4700万ドルをオンライン広告に使い、ロムニー陣営は一桁少ない470万ドルだが、日本人の私から見れば驚異的な数字である。

 

有権者にとってもデジタルは選挙を楽しむツールになっている。

演説が良ければSNSで好感度が高い発信をするし、気に入らなければ文句を発信する。その映像を見ていない人はSNSでの発言をみて、当該映像をネットで探すことは簡単だ。

 

選挙最終日は、両候補者は最後の演説を行う。同時に、陣営そして支持者たちがどんなデジタル戦いを繰り広げるか今から楽しみである。

 

グーグルはまさに、選挙のデジタル予算に目をつけた。ヘリテージ財団のインビテーションオンリーのフォーラムでグーグルの担当者は、自社が開発した政治ツールについて紹介していた。

 

大統領選挙は、その時のもっとも新しい宣伝戦略の実験場でもある。2012年選挙からはどんな戦略が生まれ生き残るのだろうか。



キャピトルの丘

秋のハリケーンという珍しい中、日本から二人のお客さんが来ていた。大学生向けに国会議員や地方議員のもとでのインターン・プログラムを運営するドットジェイピーとNPO法人の寄付金集めをお手伝いするジャスト・ギビング・ジャパンの設立者の佐藤さんと事務局長の梶川さんだ。

私は、雨にも負けず風にも負けず、お二人に会いに行った。

 

というのも、佐藤さんの取り組みは秀逸だし、しかも二人の関係は私がビジネスで成功する条件と信じている関係なのだ。

 

佐藤さんは、昨年の冬、アメリカを訪れた際に、連邦議会に日本の大学生をインターンで送るプログラムを作ってしまったのだ。

 

佐藤さんは、国連に出かけた際に、日本の大学生もインターンになれるのに、応募が少ない、と聞いたという。そして次の訪問先のワシントンでは、国連がその状態なら連邦議会もそうだろう、と目星をつけたという。果たして、彼の読みは当たり、連邦議会にも日本人インターンを受け入れるスカラシップ制度はあるのに、応募者が少なかった。彼は数日の滞在で、連邦議会への日本人インターンプログラムを行う際のパートナー組織を見つけ、業務提携まで行ってしまったのだ。

 

連邦議会でのインターンに興味のある大学生の皆さんは、ドットジェイピーのページをご覧ください。

 

そして、二人の関係。二人は大学の同級生で、佐藤さんの仕事拡大に伴い、梶川さんはエリートサラリーマンから社会企業の世界に足を踏み入れた。

 

物事の始まりは、一緒に手伝ってくれる優秀な人材がいるかどうかだと思っている。ちょうどその日は、佐藤さんの誕生日。昼間は、梶川さんからの誕生日プレゼントということで、セグウェイでワシントンDCツアーをしたと言う。

 

企業でも選挙でも、信頼できる人が一緒にやってくれるかどうかが成功の秘訣なんだと思う。

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