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Japanese Newsletter

September 19, 2013

September 19, 2013 | Japanese Newsletter on

Using Big Data to Predict Elections

 ビッグ・データ・ビジネスが選挙を決める

 

先日、選挙でどのようにビッグ・データが利用されているかという、ブロガー向けイベントが行われた。

 スピーカーは、ブッシュ政権とオバマ政権でNSCのグローバル・アウトリーチのディレクターを務めたKevin McCartyだった。

 McCartyは、現在、ビッグ・データを使った技術と政治をつなぐ最先端ビジネスに身を置いている。(日本に比べて)アメリカではビッグ・データ産業は、政治にしっかりと根を張っている。2008年のオバマ大統領誕生は、ビッグ・データの活用であることは広く知られている。2008年と2012年の大統領選挙では民主党がビッグ・データの使用に先鞭をつけた。2004年の大統領選挙では共和党のブッシュ大統領陣営はネットをつかったマイクロ・マーケティングで勝利を収めたと言われている。

   つまり、最近の選挙は、ネットの中のデータ分析で優位を得た政党が大統領選挙で勝利している。

 McCartyは、選挙におけるビッグ・データの使い方について語った。

「民主党とのIT戦に勝利したい」と話は始まり、民主党はビッグ・データをつかって有権者の感情(Emotion)に訴え、投票行動につなげることに長けている、との現状を提示した。

   McCartyによると、ビッグ・データが使われるようになってから10年しかたっていないが、どんな人たちに話をし、どのようにコネクトするかを知ることは、とても重要になっている、とし、「今は誰もがビッグ・データを集めている」とした。

 McCartyによると、民主党にとっては、「妊娠中絶、同性婚、移民」といった政策が「感情」に訴え、投票行動につながっているという。

 一方、共和党の有権者は民主党よりも「理性的」で、「経済」についてがもっとも投票行動につながっている。McCartyは、2008年と2012年の傾向は民主党の訴えは「感情」に響き勝利につながったと分析した。一方、「共和党は話はうまいが感情をとらえることに失敗した」と語る。

 こういったことは、ビッグ・データをつかってそれぞれの政策と感情で図を作って分析すると、民主党グループは高い「感情」の位置に分布し、それに対し「共和党」グループは民主党に比べて「感情」が弱い位置で分布した。

 2012年の共和党予備選挙で「感情」という指標で分析すると、候補者になったミット・ロムニーもリック・ペリーのいずれも「感情」を捉えることは苦手であった。共和党の最大政策である「ヘルスケア」を話すときでも「感情」の指標は上がっていなかった。

 初期の世論調査ではペリー人気が伝えられていたが、ロムニーのほうが終始ペリーよりも感情を獲得していた。このことが共和党の予備選挙の結果につながっている、とMcCartyは語る。

 ビッグ・データを利用するソフトウェアはモンサント社が使ったとこで知られている、という。モンサント社は会社に反対する活動家のデータを集めと、McCartyが話した時、会場は笑いで包まれた。アメリカでは知られたことのようだ。McCartyによるとスノーデン事件で問題になったNSAもこのタイプのソフトウェアを多大に利用している。

   McCartyは、ビッグデータで最も重要なことは正しいデータをいかに集められるかであるという。そこで何が「感情」に訴えることができるかを見つけることができる。ミカティによると、現在、市場には多くの利用可能なデータがあるという。TwitterもFacebookも関連したデータを販売している。

 書き込みやつぶやきで政策とそれに伴う有権者の感情指数をとらえていくという。

 ちなみにセンチメントでは意味がないという。「感情」は投票につながるが、センチメントは投票につながらない。

   McCartyはビッグ・データは刻々と変化するので、それに対応して進んでいくことがこのビジネスの醍醐味であると語る。ビッグ・データのシステムを使うと対策の機動力が向上する。McCartyはビッグデータを「鼻」と例えていた。

 現在、様々なところでビッグ・データは蓄積されているが、民主党は共和党よりも感情で動きやすく共和党は知性を重んずる傾向があるので、両党の人と同時に同じ方法で説得にあたることは難しい課題だとした。

 

キャピトルの丘

 

毎週月曜の定例会では国際研究を構成する4つの部がそれぞれの活動を報告すると同時に運営方針なども説明される。シンクタンク研究をしてきた私にとってはまさに宝の山となる会議である。

 先日は、なんと2600万ドル(約26億円)の寄付が、国際研究にあったことが報告された。

 国際問題を総括するジム・カラファノは「最大の寄付額である。これはヘリテージ財団が世界を変えると信じられているからだ。ここにいる研究者のおかげだ」と語っていた。

 寄付者は、キャサリーン・デービス。デービス・ファミリーは今までもヘリテージ財団に多額の寄付をしている。国際問題の定例会を行う会議室もデービスという名前であり、国際研究も別名がデービスであるほどだ。

 今回、前代未聞ともいえる額が寄付されたのは、キャサリーン夫人が106歳で亡くなり、遺言でヘリテージ財団に寄付されることになった。先に亡くなった夫Shelby Collum Davisはスイス大使を務め、夫人はソ連研究の博士を持つほど国際問題に知識が深い夫妻であった。

 以前の定例会でデービス夫人の別の寄付が話題にあがったことがある。その寄付は、夫人の研究対象であったロシアとの関連研究が義務付けられているとのことだった。

 日本人にとってはアメリカの寄付文化は理解しにくいが、寄付はアメリカ民主主義と資本主義の集大成の産物ともいえる。

 ビジネスで成功したものは、民主主義に貢献するという構図ができあがっている。「第五の権力 アメリカのシンクタンク(文春新書)」でも書いたが、アメリカのシンクタンクは大金持ちがいてこそ設立されそして存続し拡大している。多額なる寄付者が存在しなければシンクタンクのほとんどは存在していないと言っても過言ではないと感じるほどだ。

 あちこちで見聞きする莫大の寄付の話は、日本人から見るとかなりの驚きであるが、アメリカでは、社会貢献は成功者の証である。同時に、より貢献したければ成功する、という成功のモチベーションにもなっている。

  # 夏休みのため来週のニューズレターはお休みです。

 

About the Author

Kumi Yokoe, Ph.D. Senior Visiting Fellow, Japan
Asian Studies Center