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Japanese Newsletter

February 14, 2013

February 14, 2013 | Japanese Newsletter on

E-Verify どうなる?

アメリカには、E-Verifyという名のアメリカで労働ができるかどうかをチェックするデータベースが存在する。

州によっては、このデータベースを作ることを法制化しているところもあるが、発展途上にある政府データシステムの1つである。連邦政府も法制化していないので、現在は、ボランティアレベルのデータベースである。

このシステムが、最近、ワシントンで注目を集めている。

というのも、最近、S.202 Accountability Through Electronic Verification ActとE-Verify Modernization Act of 2013が連邦議会に提出されているからだ。

連邦政府が法制化すると、全ての州はE-Verifyは受け入れることになる。

現在、E-Verifyを法制化しているのは、アリゾナ州とミシシッピ州の2州であるが、テネシー、ノース・キャロライナ、サウス・キャロライナ・ジョージア、アラバマ、ルイジアナ、ユタ州の少なくとも7州も、E-Verifyの使用を奨励するという虫食いのような浸透度である。

フォーブズ誌によると、E-Verifyが法制化されると、突如として120万人から350万人の合法労働者が不法労働者になる可能性がある、という。

すでに、こんなケースも存在する。

アメリカ国籍をとったばかりの人が、E-Verifyによって違法扱いされたケースもある。国籍を取得した際に、国籍の担当省庁である国務省は社会保障局に当該者の地位の変更をうまく伝えなかった。そのため、その人は職を解雇された上に、国籍取得を証明するために400ドル支払う羽目になったという。

このシステムは、修正が必要であり、それを修正するには多大なコストがかかるという。

ブルームバーグのレポートによると、E-Verifyを使いこなせるようになるために、ビジネス界は26億ドルの支出を強いられる。

また、Government Accounting Officeは今後4年間に国土安全保障省は7億6500ドル、社会保障局は2億8100万ドルの支出が強いられ、働けない人が増えるため闇市場が形成されることから政府は173億ドルの税収を失うことになる、と算出している。

2月12日(火)の一般教書演説で、オバマ大統領は、移民法の改正を強く訴えていた。その時、後ろに座ったバイデン副大統領だけではなく、共和党のべーナー下院議長も立ち上がって拍手していた。各論に入るとべーナー下院議長は座ったままであったが、移民法の改正は、党派を超えた課題になっている。

先週も書いたが、増え続けるヒスパニック系移民の存在感から、移民法の改正をオバマ大統領は優先政策の1つとして位置づけている。

現在は、E-Verifyは発展途上にあるだけに間違いも多く、しばらくは費用も嵩む。使うようになれば,修正され使いやすくなり、機会費用も下がっていくかもしれない。

オバマ大統領は、不法移民に雇用に対する罰金を強化しており、E-Verifyの全米導入に前向きな態度を示している。

一方、E-Verifyを法制化しようとする2つの法案は共和党の議員から提出されている。

E-Verifyを国の法律にするかどうかは、利便性、コストとプライバシーの問題で民主党も共和党も、まだ一枚岩ではない。この議会では、議論だけにとどまる可能性が高い。

ちなみに、ヘリテージ財団は、州がE-Verifyに参加することには賛成するが、法制化することには反対している。

 

キャピトルの丘

2月1日、オバマ大統領の一般教書演説が行われた。

一般教書演説を見るたびに、日本の政治にもこのシステムがあったら良いなと感じ、そしてアメリカ民主主義の底力を感じる。

1年に一度、大統領によって行なわれる、一般教書演説は東海岸時間でだいたい午後9時ごろから始る。一番多くの人がテレビを見る時間に行われ、その模様は3大ネットワークとCNNやフォックスなどのニュース番組で全てが放映される。

今回は、各社は7時ごろから特番をくみ、ミシェル夫人や各閣僚が議会に入いるところも放映した。「大統領到着」との声がかかるオバマ大統領が議場に入った。正面の壇上に上がるまで、あちこちから議員たちとそのゲストが握手を求めて手をさしだす。ここには、党派による分裂は見えない。歓迎ムード一色だ。

オバマ大統領は2014年年末にはアフガニスタンから3万4千人の軍隊を撤収すること、TPPへの参加といった国際政治から移民問題、銃規制といった国内政治まで目指す方向を語った。会場に座る議員とそのゲストは、数分おきに、立ち上がって拍手をして演説を盛り上げる。

そして、その後、大統領と異なる政党が一般教書演説を受けて、1時間近く演説する。今回は、フロリダ選出でキューバ系アメリカ人のマイク・ルビオ上院議員がこの大役を勤めた。ここまで、テレビ局はノーカットで放映する。

一般教書演説は、アメリカの季節行事の1つなのである。

日本でも、せめて首相による所信表明がプライムタイムに行われ、そしてそれを各テレビ局が放映したらいいなと思う。

また、テレビは、様々な表情も映す。

一般教書演説の間中、オバマ大統領の後ろに座るバイデン副大統領とべーナー下院議長の表情をカメラはとらえる。副大統領は大統領の腹心であるから、数分に一度は立ち上がって拍手し賛辞を見せる。べーナー下院議長は、国際政治においては拍手を送り、国内政治については、移民法の改正、銃規制の改正を取り上げたときは拍手を送り、詳細に入ると、拍手の音を聞いて座っていた。

 

べーナー議長の表情を見るほどに、この立場は難しいことがわかる。反対といえども明らかに嫌な顔をしたら、好感度は下がるだろう。嫌味のない無表情で1時間画面の前で耐えることが必要なのだと思う。この立場をうまくこなせる政治家は日本にそうそうといないだろう。

おかしいかもしれないが、べーナー議長の表情からアメリカにおける民主主義の蓄積を感じていた。

About the Author

Kumi Yokoe, Ph.D. Senior Visiting Fellow, Japan
Asian Studies Center