The Heritage Foundation

Japanese Newsletter #58

October 11, 2012

October 11, 2012 | Japanese Newsletter on

緊張する尖閣諸島  

先週の金曜日(10月5日)、ヘリテージ財団の1階会議室でアジアのマスコミを対象とした東京報告と題するラウンド・テーブルを行った。

 

9月24日から3日間アジア部長のウォルター・ローマンと東北アジアの安全保障を研究するブルース・クリンガーそして私の3人で東京に出張し、安全保障を担当する国会議員や高官と意見交換を行った。

 

ローマンは、東京視察の概略を説明し、時期が時期だけに、東京での議論の中心は尖閣問題であったと明言した。さらに、参加者の半分以上が台湾、香港、中国メディアだったこともあり、尖閣の緊張を巡っては、台湾は日本と連携を深めることで役割を果たすことができるのではないか、と語った。

 

クリンガーは、尖閣諸島についての日米同盟の役割についてまで踏み込み、アメリカの発言に関する日本の見方を整理し、以前はアメリカ政府は「尖閣は日米安保の枠内」とだけ表明していた。だが、最近では、その文章に加えて「領土問題は当時者間の問題」という一文が加わった。そこで、「日本は1文のみにするか、2文目がついた場合、その後に、『だが、尖閣で何か起きれば、日米同盟でアメリカは行動を起こす』という一文を付け加えるべき」、というのが日本の立場だと語った。

 

国際社会では、実効支配する側の国は「領土問題は存在しない」という立場である。日本も尖閣についての領土問題は存在しない、という立場にたつ。日本の立場からすると、アメリカ政府の発言に2文目の「領土問題は当事者の問題」が加わったことは、アメリカが中国に配慮したことを示し、日本にとっては、かなりの外交ショックということになる。

 

さらに、クリンガーは同盟国と同盟国以外の国に対してはアメリカ政府の立場が異なるのは当然、という見方を示した。つまり、同盟国同士がぶつかる日韓間の竹島問題については、アメリカは関わることはない、ということである。

 

9月30日付でタイム誌は、アメリカの空母2艦が、尖閣諸島近海を通航したたことを報道した。

 

タイム誌はアメリカ太平洋軍の報道官は、トレーニングと空母は尖閣諸島を取り巻く緊張とは関係がない、と発表しているとしたが、ダリン・ジェームズ報道官は「アメリカがこの地域に対する安全保障の一環で2艦の空母を派遣した」とのコメントを掲載した。

 

タイム誌も、アメリカは領有権の問題については関係しないという立場だが、アメリカの高官は、尖閣は日米安保の枠内と明確に発言していると書いている。

 

2艦の空母は、まさに、アメリカは日米安保を約束どおりに遂行するという日本への約束表明であり、同時に中国への警告であろう。 

 

中国はハワイまでの海洋覇権を狙っていることは有名だ。米中の軍隊同士の話し合いの都度、アメリカに主張もしている。

 

尖閣諸島の安定は、日本の対応に加えてアメリカという抑止力次第という現状といえるだろう。



キャピトルの丘

10月10日アメリカ三大紙、ワシントンポスト、ニューヨークタイムス、ウォールストリートに「東シナ海平和イニシアティブ」という台湾が提案する解決策の全面広告が掲載された。

 

広告では尖閣ではなく中国名のDiaoyutai Islandと表示され、1368年から1644年は明が尖閣を見つけ名前を付け、そして清時代には台湾同様に清の領土になったし、そして日中戦争が起きている1895年1月14日、日本は尖閣を領土であると秘密裏に宣言した、と台湾の主張を展開した。

そして、馬英九総統が2012年8月に提案した解決策を掲載した。有効な議論を通して領土問題は棚上げし、共同プロジェクトで資源開発を行う、というものである。

 

日本政府は、資源開発の共同プロジェクトを提案した過去があるが、中国側に拒否された状態にある、ことを今回の東京訪問で聞いた。

 

最近の中国は、安全保障の立場を国内メンツから国際社会での実益獲得に変化させている。以前は共産党体制の維持が第一義であり、国際間の緊張ですら「メンツを守る」ことが最も重要視されてきた。だが、経済発展と呼応して、最近では、南シナ海での領海問題も含めて海洋権益の拡大に向けて新しい秩序を手に入れようとしている、というのがワシントンで最近、よく耳にする見方である。

 

この現状を考慮すると、南シナ海、東シナ海そしてハワイまでの海では、緊張は続くことになる。

 

日本だけではなくアジアにおけるアメリカの役割はますます重要になる。

 

次回の大統領候補のテレビ討論会は外交問題についてである。アジアについて両者はどんな発言をするのか目が離せない。

About the Author

Kumi Yokoe, Ph.D. Senior Visiting Fellow, Japan
Asian Studies Center