The Heritage Foundation

Japanese Newsletter #47

June 28, 2012

June 28, 2012 | Japanese Newsletter on

どうなるFarm Bill

5年毎に農業政策を決定付けるFarm Billが、現在議会で議論されている。Farm Billは1973年に始まり、その後、5年ごとに修正される。現在施行されているFarm Billは2008年に可決され、今年9月30日が期限になっている。

上院では「Agriculture Reform, Food and Jobs Act of 2012」という正式名称で既に提出されているが、共和党からかなりの修正案が出されていた。 

Farm Billは一言に農業政策といっても、助成金だけでなく、農村開発、エネルギー政策、環境保護等にも関わる1000ページを大型予算案である。

2012年Farm Billでは、農家への直接支援は今後10年で198億ドル削減されることになっているが、農作物保険については51億ドルの増額が見込まれている。

ヘリテージ財団のDiane Katz研究員は、米国農務省の統計によると2012年の農家の純所得は917億ドルにのぼり、史上二番目の水準になっている、という。2011年には過去最高の981億ドルを記録している。同時に2012年の農家の負債率は、ここ40年で最低の10.3%になる見通しである。不景気にあって、所得が上がり負債は下がっていることから、農家は他の産業に比べると好調を示している、という。Katzは、国債残高が膨らみ財政が苦しい中で、そこまで手厚い農家保護政策が必要なのか、と疑問視している。

Katzは、助成金に加えて一部の農作物保険に対する助成金についても、必要性を疑問視する。これらは、本来のリスクを隠し、より危険な地域での農業などを助長している。Katzは、大農家ほど利益を得られるような仕組みの助成になっていてることも不公平だとも指摘している。

また、ヘリテージ財団のBrian Darlingは、この法案は「フード・スタンプ拡大法案」と名前を変えるべきだと揶揄する。フード・スタンプは、低所得者層に食料の割引券や無料券を提供する扶助制度である。フード・スタンプはFarm Bill 2008が2012年に割り当てている9.7億ドルのうち、79%の7.7億ドルを占める大規模なものである。しかし、十分な資産があるにもかかわらず不正に受給したり、受け取ったフード・スタンプを売買するという問題は常に持ち上がっている。

6月12日のポリティコでは、ポップコーンに関する条項が話題に上がった。この条項では、ポップコーンを普通のコーンとは別に扱い、助成金の対象とするかを検討することを示している。ポップコーンは、最近施行され始めたコロンビアと韓国との自由貿易協定で、早くも輸出が増加している品目でもある。

6月19日の時点では、300以上の修正案がFarm Billに対して提示されていた。上院院内総務のHarry Reid議員は、全ての修正案を裁くことはできないが、多くを反映させることは可能だと話してた。共和党のMcCain上院議員は、2008年のFarm Billが10年で6,000億ドルの歳出だったの比べて、今回のFarm Billは10年で9690億ドルに拡大している、と批判した。

 Farm Bill 2012の修正条項については相当時間がかかることが予想されたが、審議する修正案を73に減らし、6月21日に64-35(棄権1)で可決された。採決に際して15人の共和党議員が賛成票を投じ、1人が棄権した。また、5人の民主党員も反対票を投じている。共和党で賛成票を投じたのは、ミズーリ、ネブラスカ、カンザス、アイダホ、ワイオミングなどの農業が重要産業の州の議員たちだった。

共和党が多数を占める下院で今後審議される予定だが、更なる削減を要求するための修正を加える試みが予想される。仮に下院が相当の修正を加えて法案を通しても、Conference Committeeで折り合いがつくことは難しいだろう。現在の農業政策は9月30日に期限が来るので、それまでにFarm Bill 2012を施行しなければならないというプレッシャーもある。

アメリカの立法プロセスにはいくつかの形態がある。上院から回ってきた法案に下院が修正を加えて、可決される場合。また、上院と下院それぞれが同じ政策に関する法案を提出して、両院でほぼ同時並行で可決する場合などである。両院で可決した法案はConference Committeeにもたらされる。二つの法案が全く同じ場合はそのまま大統領の署名に行くが、異なる場合はそこで調整が行われる。

補助金は今年行われる選挙に直結する。そのため、民主党でも反対する議員もいるし、共和党でも農業地区では賛成する議員もいる。9月30日の期限までにFarm Bill2012を通過させることができるのか。どこの国でも農業と補助金の関係は根が深い。

____________________________________________________________________________________

キャピトルの丘

日本では、消費税法案が衆議院で可決し、同時に野田首相と同じ民主党でありながら反対に転じた小沢グループの今後に焦点が集まっている。政界再編への引き金になるのかどうか気になる日本の政治である。

アメリカでは、それほど話題にはなっているわけではないが、取り上げられてはいる。

ヘリテージ財団のデレク・シザーズは、「消費税の値上げによって、今後3年間で11兆円から14兆円の歳入は見込めるが、日本の単年度赤字は45兆円に上っている」とし「社会保障の改革」が必要としている。

ワシントン・ポストでも、経済政策の議論というよりも政局の戦いであるとし、その上で消費税15%と社会保障の改革が必要というIMFの勧告を紹介していた。

日本で働いていたときには財政赤字はそれほど問題だと思わなかったが、国際機関に出向して日本の財政が逼迫していることが身にしみた、という財政専門家の声を聞いたこともある。

アメリカでは、共和党と民主党が膝詰めで予算の協議をしている。二カ国の戦いのようだと揶揄する学者もいるほど、予算についての真剣勝負が繰り広げられている。

日本の財政議論が政局戦争に使われるのではなく、真に財政議論に終始して欲しいと心から願っている。



About the Author

Kumi Yokoe, Ph.D. Senior Visiting Fellow, Japan
Asian Studies Center