The Heritage Foundation

Japanese Newsletter #36

April 12, 2012

April 12, 2012 | Japanese Newsletter on

共和党は変わったか? ロムニー大統領指名

4月10日、1月から続いた共和党予備選挙に決着がついた。2位につけていたリック・サントラムがついに選挙からの撤退を表明したからだ。3位のニュート・ギングリッチはまだ選挙戦に居残っているが、実質的には、この瞬間、代表議員の数で先頭を走るミット・ロムニーが共和党大統領候補の地位を勝ち取った。

今回の共和党予備選挙は、予備選挙の代表議員数の配分の方式と選挙資金のルールが今までとは異なっていたこと、そして、現職のオバマ大統領の支持率を凌駕するような圧倒的に強い候補者が不在だったこともあり、いつも以上に長引く選挙になった。

だが、この選挙戦を勝ち抜いたロムニーにとっては、ある意味、この期間的長さは必要だったかもしれない。

というのも、ロムニーは、今までのいずれの大統領候補者とも異なる要素を持っているため、マスコミへの露出から馴染みやすくする必要があるからだ。

すでに、知られていることだが、アメリカの歴代の大統領は、ジョン・F・ケネディ大統領のカソリック信者であることを除くと、全てプロテスタントの信者である。ロムニーは全米でも3%にも満たないモルモン教の信者である。そのため、「いざという決断で私たちとは違うかもしれない」という懸念がアメリカ人にはあるようなのだ。

予備選挙で現地調査するなか、「こんなことを言ってはいけないけれど、ロムニーがクリスチャンであれば、圧倒的な強さで予備選挙を戦っただろう」とか「ロムニーが最も資質があると思うけれど、決めきれない」という声をよく聞いた。

長い予備選挙は、ロムニーが普通のアメリカ人と同じであることを行き渡らせる時間でもあったといえるだろう。

だが、ロムニーは、今までのところ、宗教色の強いサウスでは一勝もあげることが出来なかった。この票が、サントラムを支え、予想以上に選挙が長引いたことは事実である。

おもしろいことに、サウスで勝利できなかったことも、2回目の大統領選挙を戦うロムニーは糧にしていた。

サウスの予備選挙で負けるたびにロムニーの演説がうまくなっていったことは広く知られている。

アメリカの予備選挙も含めた長い大統領選挙は、候補者にとっては大統領になるための教育プロセスである。長い選挙戦を戦うなかで、大統領に相応しい資質を持っていることを知らしめると同時に、自分も大統領の準備を積んでいく。2008年の大統領選挙の予備選挙では、オバマ大統領は演説はうまいが、討論ではヒラリー・クリントンの後塵を拝していると言われていた。だが、長引く予備選挙の経験でオバマ候補は大統領の資質を伸ばし、本選挙に入ると、誰も討論会に不安があると口にする人はいなくなった。また、オバマ大統領も、選挙戦が厳しくなるたびに、有名な演説を生んだ。

ロムニーは、育ちの良いエリートだ。仕事でも大成功した億万長者である。そのため、庶民の気持ちがわからない、と言われ批判されてきた。所得に対して税率が低すぎるのではないかと攻撃された時、「税金申告書」の公開まで行い、ネガティブ選挙を乗り越えてきた。

本選挙では、予備選挙で乗り越えたネタで再び攻撃されることは少ない。つまり、ロムニーは、「税金申告書」をめぐっては攻撃されることはない。民主党は、庶民の気持ちがわからない、ということについては異なる材料で攻撃することになる。しかし、「税金申告書」開示という最高のリスクはすでに克服したのである。

現在、ロムニー候補はオバマ大統領に資金面でも世論調査の面でも差をつけられている。オバマ大統領は、ロムニー候補の倍以上の資金を集め、予備選挙の必要がないこともあり、現在10倍以上の資金を手にしている。ギャロップ調査によると2012年調査ではオバマ大統領が平均45%以上の支持を手にしているのに対し、ロムニー候補は45%を常に下回っている。

ロムニー候補にとっては、厳しい本選挙になることが予想される。だが、ロムニーが共和党の予備選挙で勝ち残ったことから、共和党が21世紀型の政党に成長しようとしていることが推測できる。

宗教保守の価値も大事であるが、現在、解決すべき問題に関する保守思想に重点を移したと言えるのではないだろうか。

一方、民主党は2008年アフリカ系アメリカ人の血を引くオバマ大統領を誕生させたことで、つまり、現段階では、21世紀型に変容を済ませている。

今後は、本選挙への影響と、共和党の21世紀に入った変容について追って行きたい。

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キャピトルの丘

イースター休暇があけ、上院も下院も閉会中のため、キャピトル・ヒルは静かだ。新聞の政治面も選挙で占められている。

この時期と桜祭りにあわせて、私は、昨年7月にヘリテージ財団に移って以来、最大のチャレンジに挑んでいる。

なんと、昨日、ウォール・ストリート・ジャーナルの専門家のオピニオン欄に投稿を果たしたのである。

テーマは、100周年桜祭りとパブリック・ディプロマシーである。ワシントンDCの本屋さんの桜祭りコーナーで、本をぺらぺらとめくっていた時、「エリザ」という絵本を見つけた。それを読んだとき、アイディアが浮かんだ。

エリザは、ダイタル・ベイスンの湖畔に桜を植えることを提案し、30年以上もワシントンDCにそれを働きかけ続けた、ワシントンDCの桜の生みの親である。そのアイディアにファーストレディが共感したことでいっきに実現し、東京都が桜の木を贈るに至ったのである。

絵本は、エリザの誕生から始まる。彼女は日本を旅したときに桜の花が咲き誇るのを見ていた。

ダイタル・ベイスンの桜プロジェクトは、日本のパブリックディプロマシーの成功例という小さなものではない。日米協力パブリック・ディプロマシーの結晶だったのである。

そんな論考を、アシスタントの協力と大使館へのインタビュー協力のおかげで、英語700単語で書き上げた。

そして、ヘリテージ財団の編集部署にもお世話になった。「第五の権力 アメリカのシンクタンク(文春新書)」で書いたように、各シンクタンクは研究者の著作を非常に重要視する。そのため、複数が所属する編集部署を抱えている。ヘリテージ財団にも、通常の編集者だけではなく、コピーライトや事実を確認する編集者も存在する。

ヘリテージの編集部署がチェックし、私が最終確認をする。そしてそれを編集部署が、ウォール・ストリート・ジャーナルに投稿してくれたのが、昨日の夕方だ。

編集担当によると、ビッグ3新聞紙と呼ばれる、ニューヨークタイムズ、ワシントンポスト、そしてウォールストリートジャーナルの論説には1日500通もの応募があるという。

ウォールストリートジャーナルの投稿規程によると、「10日間なんの返事もなければ没」ということなので、昨晩から10日間、指折り数えて祈るしかない。

#いよいよ来週月曜日16日13時から、石原慎太郎都知事がヘリテージ財団で講演します。参加希望の方は、以下のリンクからお申し込みください。

About the Author

Kumi Yokoe, Ph.D. Senior Visiting Fellow, Japan
Asian Studies Center