The Heritage Foundation

Japanese Newsletter #26

January 26, 2012

January 26, 2012 | Japanese Newsletter on

Online Piracy Prevention

1月18日夜、ウィキピディアやMozillaなど人気サイトが突然使えなくなり、グーグルはロゴを黒いバナーで隠した。

これは、アメリカ下院で審議されていた、オンライン海賊行為禁止法(Stop Online Piracy Act、通称SOPA)と上院の知的財産保護法(Protect Intellectual Property Act、通称PIPA)に対する抗議であった。

Daily Callerによると、ウィキペディアに加えてゲームサイトなど、実に7万5千のウェブサイトが、同様に抗議活動を行った。

この2つの法案が通ると、著作権の侵害に対抗するために、司法省にさらに大きな権限を持つことになる。しかも、司法省はインターネット・サービス・プロバイダーなどに、著作権を侵害していると思われるサイトの運営者等の個人情報を提出させることができるようになる。また、グーグル等の検索サイトに、違法なサイトの削除を命令することもできるようになる。

IT業界は、これらの法案を「オンライン検閲」と呼んで反対する。

一方、これらの法案を支持するのは、著作権の侵害に悩む映画業界や音楽業界である。今までは、音楽業界が著作権侵害の最大の被害者であったが、ネットでのやりとりの量が増えた現在、ついにハリウッドも著作権侵害が深刻になった。

この2つの法案は、民主党と共和党の超党派で作成されていたが、共和党に反対者が多く、民主党が先導する形になっていた。しかし、オバマ大統領にとっては、ハリウッドもIT企業も最大の支持母体である。とりわけ選挙の年にどちらも敵にしたくない。そのため、著作権侵害についてはなんらの取締りが必要だが、今回の法案については時期尚早という立場をとって距離を置いていた。

自由経済を提唱するヘリテージ財団では、姉妹組織である「ヘリテージ・アクションチーム」が、“SOPAとPIPAに反対しよう;Key Vote Alert: ‘NO’ on SOPA and PIPA”をリリースし、ウォールストリート・ジャーナル、AP通信、ロサンジェルス・タイムズに取り上げられた。

ヘリテージ財団の主張に足並みを合わせ、5人の共和党上院議員(マルコ・ルビオ、ロイ・ブラント、ジョン・ブーズマン、オリン・ハッチ、デービッド・ビッター)が、PIPA法案不支持を表明した。一方、下院では2名の共和党議員がSOPA法案の発起人名簿から名前を消した。

最終的に、上院は1月20日、24日に予定されていたPIPA法案の投票延期を決定し、下院も同様に、SOPA法案の投票延期を表明した。

日本の政治では、抗議活動が鮮やかに国会の議論影響を与えることは稀である。産業界の動き、人々の声、そしてヘリテージ財団に代表されるシンクタンクの主張が、一夜にして国会の主張を変化させるダイナミズムはアメリカ民主主義の真骨頂と言えるだろう。

キャピトルの丘:編集後記

選挙の年に入り、ヘリテージ財団は「Value Bus」ツアーという新しい政策提言活動を開始した。

1月23日(月)には、ヘリテージ財団の前に「Your Money, Your Values, Your Vote」とペインティングされたバスが横付けされ、お披露目会が開催された。

テキサス州選出のルイ・ゴメルト下院議員(Representative Louie Gohmert)も応援に駆けつけ、演説を行った。

ゴメルト議員はヘリテージ財団で、「アメリカの弱体化が世界に悪影響を及ぼしている」、とし、アメリカの国力を強化するることが、世界に利益をもたらし、そのために「Saving the American Dream Plan」を遂行するべきだと訴えた。そして、それはひとえに彼の3人の娘達を含め、次世代の人々に多大な負担を残さず、幸福な人生をもたらすためだ、と強調した。

Value Busはヘリテージ財団の「Saving the American Dream Plan」と、家族問題を研究するFamily research councilと協力して運営され、税制の簡素化、高齢者医療保険制度と社会保障制度の再設計、政府支出の削減、医療保険制度改革、国防費の充当を訴えていく。これらの政策、つまり効率的に運営される政府と国防の充実は、まさにヘリテージが掲げる保守思想の具現化である。

アメリカでは、選挙に「教育」という機能があることが認識されている。有権者は、候補者の主張から今の問題点とその解決策そして優先順位を学び、投票行動を決定する。

501(C)3という免税特権が与えられる非営利団体の1つであるシンクタンクの役割も「教育」である。アメリカ中が大統領選挙という有権者教育一色になる今年、ヘリテージ財団も、有権者教育を強化し、このツアーを始めたのである。

「Value Bus」は今後2月までは、ミズーリ州セントルイス、アリゾナ州トゥーソン、テネシー州ナッシュビル、ヴァージニア州リンチバーグの順に、共和党予備選挙の行われる州を回る予定である。

日本の選挙にも、投票行動を決定するための有権者教育という視点が必要ではないかと思えてならない。

1月24日に行なわれたオバマ大統領の一般教書演説も、有権者教育の視点で見ると興味深い。

大統領は、視聴率が最も高時間に議会で演説し、その模様は全国ネットで放映される。その後、行なわれた一般教書に対する共和党の反論も同様に全国ネットで放映される。

研究機関のシンクタンクも、ここで役割を発揮する。ヘリテージ財団では、世界中から無料電話で参加できるテレコンフェレンスを行い、一般教書演説の中身を論評した。

フロリダ予備選挙の結果後には、私が日本語でテレコンフェレンスをやってみることになった。日本から無料でダイヤルインできますので、ご興味のある方は参加して、アメリカのシンクタンク、ヘリテージ財団の取り組みを体験してください。

詳しくは、前日にこのメールで配信します。所定の日本用フリーダイヤルに電話をかけ所定の番号を入力するだけでつながります。

About the Author

Kumi Yokoe, Ph.D. Senior Visiting Fellow, Japan
Asian Studies Center